玄関先をウッドデッキに

ウッドデッキ施工前のアプローチ空間は、タイル張りのポーチと少し勾配のある通路で、通路の幅は90cm弱と狭く、杖を使って歩く高齢のご主人には少々歩きにくい場所でした。
また、住宅に付随した幼稚園には毎日大勢の子供と大人が通うため、玄関前の狭さが深刻な問題になっていました。
ウッドデッキと言えば、リビングから直接出られる屋外空間。が一般的ですが、例えば、玄関先のアプローチ空間に設置するのもおすすめです。
アプローチがウッドデッキになると、ちょっとワクワクします。
コツコツと鳴る音も楽しげだし、晴れた日は思わず座りたくなる。そして何よりも、空間を有効に使うことが出来ます。
施工前の様々な問題点を解決するために、とても有効な手法がこのウッドデッキのアプローチです。
1. 現状の問題点
玄関前の狭さが大きな問題点となっていました。幅が狭くて勾配のある通路は、滑りやすくて危険だし、人のすれ違いも出来ない状態です。
前面道路からこの通路に至るまでの間に長い階段がありますが、階段〜通路〜玄関の関係もあまり良くありません。

一方、通路の脇にはツツジなどの低木が植栽されており、大きな庭石とともに通路を狭くする原因にもなっていました。
そこで、庭石や植栽を撤去して通路の幅を広げようと検討しましたが、何だか楽しさやワクワク感は無く、単純に通路幅が広くなるだけで、勾配の解消にもつながりません。

ゆったりとした通路、勾配の解消、楽しさやワクワク感。こうしたキーワードをもとに検討した結果、アプローチをウッドデッキで作ってしまう方法を思いつきました。


商業施設や別荘などではよく見られますが、一般住宅ではあまり見かけない手法です。しかし、結果的にとても良い空間が出来上がりました。
2. ウッドデッキのアプローチをつくる
施工開始、まずは既存植栽の撤去から始まります。そして、大小様々な庭石を撤去・搬出します。この庭石撤去が第一関門。道路からかなり高い場所にある為、石を吊り上げるのも大変な作業でした。

各場所の高さを確認した後、具体的な設計作業、基礎工事、デッキ本体工事へと進みます。
ウッドデッキ自体は、通常使用しているレッドシダー材ではなく、ハードウッドのセランガンバツ材を採用しました。
住宅+幼稚園という用途上、大勢の利用が想定されたので、硬い材料を使ってデッキ表面の耐久性を高めました。

セランガンバツ材を無塗装で使っていますが、材料自体の価格が少々高額な分、塗装費用をそっくり減らす事が可能です。
3. ウッドデッキに木フェンスを組合せる
設置したウッドデッキには数段の段差がありますが、一段あたりの段差を小さくしているので、楽に昇り降りが出来ます。周囲にはレッドシダー材の木製フェンスを設置し、フェンスと同じ材料で休憩用のベンチも作りました。

フェンスには英語表記のサインを設置。錆びた風合いが美しいコルテン鋼とフェンスの木材が調和しています。

木製フェンスとウッドデッキの設置によって、玄関前の空間は劇的に広く明るくなり、安全性や快適性も高まりました。
これまでは玄関前の通路だった場所が、玄関前の広場に姿を変えました。
