雑木の庭を改修する-1 [庭木の伐採を検討]
長野県駒ヶ根市の閑静な住宅街。新築時に住宅業者から紹介された造園業者が手掛けた庭をリフォームする依頼です。
施主からの希望は高木や生け垣によって暗くなった庭を明るくしたい。さらに、日常生活の中でもっと庭を楽しみたいということでした。
立地条件としては、敷地の南北は隣地、東側は道路、西側は駅前広場に面しており、プライバシーの確保も大きなテーマになります。
東側の道路については敷地との高低差があって、外からの視線や車の通行があまり気にならないことから比較的開放的に。一方の西側は駅利用者との距離感が近く、視線も通ることからクローズドの庭とする方針となりました。
また、庭の規模や要望、想定されるコストを考慮し、数回に分けての施工が望ましいという結論に至りました。
1. 現状の庭を見ながら状況を把握する
現状の庭は新築工事の際に施工されたもの。当時は住宅のプラン検討や各種機器類の選定等に時間を費やし、庭の計画まではあまり検討できなかったそうです。そのため、造園業者の提案を全面的に受け入れた庭づくりになったそうです。
樹木が多く、東西面と南面は高さ1.5m程度の生け垣が目隠しとして植栽されました。全体として多くの植物に囲まれて閉鎖感の高い印象です。
2. 剪定により枝葉を整理して問題点を把握する
敷地を取り囲む庭木の多くが常緑樹。中でもシラカシやアラカシといった樹種が大勢を占めて、これらの成長の早い木々が庭を暗くし、風通しを阻害していることが分かりました。
まずは庭木の剪定によって本来の庭の姿に戻し、現状の問題点を洗い出し、ここから新たな庭づくりを始めることにしました。
剪定作業によって風通しが確保され、同時に庭木の密集により病害虫の発生も発見できました。
また、敷地の三方を囲むヒイラギモクセイの生け垣については 庭の印象を単一化し、敷地の有効的な利用に関してもマイナスであった為、伐採することとしました。
これ以外にも、立ち枯れているシラカバや密集し過ぎていた低木類も移植や伐採によって整理し、庭のベースを作り直すことを進めました。
3. 多様性ある植栽計画と木製フェンスの計画
道路側の斜面部分はヒイラギモクセイの生け垣とシラカシ等の常緑樹が存在感を示していました。これにより、道路から庭の内部を垣間見ることは出来ず、ほぼクローズドな庭になったいました。今回の計画では斜面全体を覆う下草類(ヒイラギナンテンの単一植栽)とヒイラギモクセイの生け垣を撤去し、新たに多様性ある落葉樹と宿根草の植栽計画を提案しました。
また、植栽間には小道を配置し、適度な透け感のある計画とすることで道路からほんのりと庭を垣間見れるようになります。
一方、駅前広場に面する西側部分は、生け垣を撤去後に木製フェンスを設置し、プライバシーを確保しつつ空間利用の有効化に努める事としました。
フェンスの設置により敷地内外の境界を明確化することで防犯性を大きく向上させることにつながります。