危険な斜面地の庭を階段状デッキで安全に改修
東京都町田市の高台にある住宅。住宅の新築時に作ったという庭は斜面地のために滑りやすく、歩くのが危険なくらいでした。
そこで庭へのアクセスを容易にすること。そして、既に育っている庭木を出来るだけ生かしながら、安全に回遊できる庭を目指しました。
また、広大なスペースをいくつかのエリアに分けて、回遊しながら様々な表情が楽しめるようにエリアごとのテーマを検討しました。
1. 土が流れ、歩くのも困難な斜面地の庭
斜面が広がる既存の庭は長年の雨で表土が流されて滑りやすく、庭に出ることも危険な状態でした。更に強靭な笹や雑草が全体を覆い手入れの大変さも容易に想像出来ました。
施主からの要望はとにかく安全な庭に作り変えること。そして、メンテナンスを少しでも楽にしたいということでした。
2. 斜面を生かした庭の計画
全体的に滑りやすい斜面だった庭。均一的な印象だった庭をいくつかのエリアに分けるところから検討しました。歩くところと鑑賞するところ、そして育てるところ。
歩くところはとにかく安全に。鑑賞するところは周辺に広がる里山のように自然な雰囲気に。また育てるところは管理しやすいレイズドベッドを配置しました。
これらのエリアをいくつかの通路で結び、その場所ごとに違った風景を楽しめるように工夫しました。
3. 歩くところは安全で楽しく
入口から滑りやすい急勾配の坂道が続き、危なくて頻繁に楽しむことすら出来なかった既存の庭。今回のリニューアルではまず、庭のアプローチ部分にウッドデッキを設置。更にレベルを変えながら階段状のウッドデッキで庭へアクセス出来るプランにしました。
ウッドデッキはそれぞれ十分な広さがあり、途中で立ち止まり一息つくことも可能です。
途中から自然石を使った緩やかな階段が続き、安全に斜面を下っていくことが可能になります。
4. 里山の風景を庭の中にも
ブルーベリーやフェイジョアなど既存の庭木が生い茂るエリアには、木々のメンテナンスを行いやすいように通路を設置しました。
通路の形状は庭木の配置と傾斜に合わせて曲線的に、またところどころ自然石が露出した姿は里山の山道を思わせます。
今回のリニューアル工事では新しい植栽を追加することはなく、現状の植物のみとしました。まずは安全でメンテナンスがしやすい庭を実現できました。今後、グランドカバーや宿根草等を追加し更に魅力的な庭に育っていくことと思います。