雑木の庭を改修する-2 [多様性のある植栽]
長野県駒ヶ根市の閑静な住宅街。新築時に住宅業者から紹介された造園業者が手掛けた庭をリフォームする依頼です。
施主からの希望は高木や生け垣によって暗くなった庭を明るくしたい。さらに、日常生活の中でもっと庭を楽しみたいということでした。
立地条件としては、敷地の南北は隣地、東側は道路、西側は駅前広場に面しており、プライバシーの確保も大きなテーマになります。
東側の道路については敷地との高低差があって、外からの視線や車の通行があまり気にならないことから比較的開放的に。一方の西側は駅利用者との距離感が近く、視線も通ることからクローズドの庭とする方針となりました。
また、庭の規模や要望、想定されるコストを考慮し、数回に分けての施工が望ましいという結論に至りました。
1. 植物の見せ方と多様性ある植栽
生け垣が生い茂り過密になっていた道路側植栽。木曽石の土留めを使用して高低差のある植栽計画としました。
生け垣は撤去し、新たに宿根草や1〜2m前後の低木を配置しました。植物が育った後も建物が透けて見えるようなイメージです。
植栽のリニューアルによって開放的で明るい庭が実現しました。また、道路との高低差があるため、歩行者の視線についてはあまり気にならないようです。
土留めに使用した木曽石については、景観的な魅力向上にも役立つほか、メンテナンス時の足場として重宝します。
2. 木製フェンスで囲うことで広く見せる
駅前広場に面する部分は高さ1.5m程度の生け垣で囲まれていました。外からの視線を遮るという意味では役割を果たしていたものの、景観的には少々雑な印象がありました。
また、日常的なメンテナンスが難しいことや庭のスペースを大きく専有していたこともあり、木製フェンスを設置することとしました。
イタウバ材のフェンスは無塗装で使用しています。将来的には塗装することも視野に入れていますが、当面は無塗装として経年変化を楽しむというイメージです。
木製フェンスにより駅前広場からの視線を遮り、ゴミなどの不法投棄も無くなりました。さらに、駅前の景観向上に対しても一役買っています。
3. ウッドデッキの増設
以前より駅前広場側の庭にはウッドデッキが設置されており、室内から容易に外へ出ることが可能でした。しかし、比較的小さなウッドデッキは使い勝手があまり良くない事と、庭とのレベル差が大きく、庭へのアプローチが難しいという弱点がありました。
そこで既存のウッドデッキに接続した新たなウッドデッキを設置しました。既存のデッキからは一段低くし、庭との距離感を小さくしました。また、同時期に設置した木製フェンスと同じくイタウバ材を使用することで、木製フェンスとの調和を図りました。
当初、こちら側の庭には枯れたシラカバや生け垣などがあり少し雑然としていました。これらを整理しウッドデッキと木製フェンスに置き換えることで全く印象の異なる、明るいイメージの庭となりました。夜間にはガーデンライトが灯され、幻想的で落ち着きある空間となります。これらによって、防犯性も大きく向上していると思われます。