腐るウッドデッキが出来る理由
ウッドデッキやウッドフェンスを希望されるお客様の多くが気になる事。それは、木が腐ることやシロアリが発生する事。自然の素材だから仕方ないと思う反面、数年で腐ってしまうのはもったいないのではないか、と考えるのは当然のことです。
では、なぜウッドデッキは腐ってしまうのか。腐らせないで長期間きれいに保つ事は出来ないものなのか。
1.そもそも木が腐る理由は何か
高温多湿の日本で暮らしていると、木材がどのような場所で腐りやすく、どのような条件でシロアリが発生するのか、何となく想像出来るのではないでしょうか。
木が腐る理由を簡潔にまとめると、常時湿気にさらされて木材を腐らせる菌が多く発生するため、ということが言えます。木材を腐らせる木材腐朽菌は、水分が多いほど増殖し、徐々に木材の内部へ浸透していきます。
また、このような条件下では、腐朽菌のみならずシロアリにとっても最高の生息環境となり、この両者の攻撃によって急速に朽ちていくことになります。
更に、上記のような多湿な環境は、外から容易に見えない場所であることが多く、気がついた時には手の施しようがない、といったケースがほとんどです。
2.腐ってしまったウッドデッキを解体する
以前、別の業者さんが作ったウッドデッキが腐ってしまったので、解体して新しく作り直したい。というご依頼を頂く事が多くあります。デッキの解体を進めていくと、腐ってしまったりシロアリに食害されてしまったりする理由がよく分かります。
ほとんどの場合、以下の3つの原因に分けられると思います。
3つの原因のうちの一つでも当てはまる場合、早急に調査をして対策を講じる事が必要です。
①塗装の不具合(再塗装時期の遅れ、塗料の選定ミス)
木材は塗装を施すことで好みの色味になるのはもちろんですが、屋外で使用する木材は防虫防腐効果を得るために塗装することが大切です。
新しくウッドデッキを製作した時には美しく塗装されていたものの、時間の経過とともに塗料の効果は薄らぎ、再塗装のタイミングを遅らせると水や害虫の侵入を許し、木口や隠蔽部を中心に腐食が進行します。
また、再塗装を行ったものの、選んだ塗料の質や種類が合わなかったために、木材のダメージを食い止めることが出来なかった例も多く見かけます。
アトリエタムロでは、量販店などでも容易に入手可能で、木材の防虫防腐が高く、繊維への浸透性も高い木材保護塗料を2回塗りしています。施工後のメンテナンスは3年後を目処に再塗装を行い、それ以降は5年程度の間隔で再塗装することをお勧めしています。
②立地条件の不適合(風通し不足、常時湿潤)
建物の北側や大きな庭木の下部などで常に日が当たらない場所、周りを建物やヨウ壁などで囲まれた風通しの悪い場所など、そもそもウッドデッキを設置するのには向いていない場所では、木材の腐食速度が速くなりがちになります。
このような条件のウッドデッキでは、特に定期的な検査やメンテナンスが重要になります。
また、立地条件はそれほど問題がないのに、ウッドデッキの上に植木鉢を置いたり、ビニルシートで覆ったりするなど、使い方の問題でウッドデッキの寿命を縮めているケースもあります。
とにかく、風通しを良く、湿気を溜めないことが最も大切です。
③施工不良(納まりの不具合、材料の選定ミス)
木材と木材を組み合わせて作るウッドデッキでは、その加工方法や納まりによって水分を溜めやすくしたり、腐りやすくしてしまう事があります。また、使用する木材自体が屋外での耐久性に問題があることも考えられます。
またウッドデッキの組み立てに鉄釘を使用しているケースを見ることがありますが、鉄は錆びやすい上に、釘は木材を傷つけずに取り外すことが困難なため、メンテナンスが難しくなります。釘よりも多少存在感が増してしまいますが、年月が経過しても錆びにくく取り外すことが容易なステンレス製のコーススレッド(木ネジの一種)を使用することをお勧めします。
いずれにしても、設計・施工段階での不具合は、ある程度の知識や経験がないと、発見することは困難だと言わざるを得ません。
ウッドデッキを設置する場合、コストももちろん重要ではありますが、施工者の質や経験、過去の実例などを総合的に判断し、気になる点はどんどん質問をするべきだと思います。
質問に対する回答に納得できなかったり、不安を感じる場合には、思い切って他の業者に相談し直す事も検討すべきだと思います。
3.木のメリットとデメリット
自然素材である木材は、素材が持つ暖かさや優しい肌触りが特徴ですが、その反面、これまでに触れた腐朽菌や害虫などによる劣化などのデメリットがある事も確かです。
木材の種類によって、メンテナンスの方法や間隔が大きく異なりますが、基本的に全くのノーメンテナンスで屋外使用が出来る素材ではありません。
ウッドデッキやウッドフェンスを天然の木材で製作する場合、将来のメンテナンスや部材の交換など、ある程度の手間が必要だということを念頭に置く必要があります。