木製フェンスを作る前に確認しておきたいこと

木製フェンスを作る前に確認しておきたいこと

隣家や道路からの視線を遮ったり、浴室の目隠しなどに重要な役割をする木製フェンス。プライバシーの確保以外にも、庭に表情をつけたり、落ち着き感をもたらしたりと、様々な効果を期待できます。しかし、木製フェンスは強風などによって非常に大きな外力を受け、転倒や倒壊の危険性があります。そのため、設計や施工方法を十分に検討し、安全性の高いフェンスにする事が重要です。

1. 木製フェンスの種類は大まかに2種類

木製フェンスは柱と柱の間に、木製ラティスのようなパネルを張るタイプと、板状の木材を張るタイプの2種類に分けられます。DIY施工の場合は、お手軽なパネルタイプが多いみたいですが、それぞれのメリット・デメリットを知っておく事が大切です。

①木製パネルタイプ

ラティスフェンス
ラティス状に組んだパネルを、柱間に差し込んで作るフェンス

市販されているラティスやルーバー状のパネル。ちょっとした目隠しや小さめのフェンスに使われる事が多いようです。何よりも、その手軽さが特徴で、柱さえ立てればあとは固定するだけで完成します。ただし、安価なラティスの中には作りが雑で、材料も屋外での使用に耐えられないものもが見受けられます。

購入する際には、色や形だけではなく、使用材料や強度、防虫防腐塗装の有無などを実際に手に取って確認することが大切です。

②板状の木材タイプ

造園会社やエクステリア会社が施工する場合に一般的なタイプで、様々な高さや幅に対応出来る自由度の高い木製フェンスです。板の間隔も自由に決められ、耐久性や強度もパネルタイプよりも高くなる傾向にあります。

木製フェンス
レッドシダー(米杉)材で制作した木製フェンス

一方、施工する手間はパネルタイプよりも大幅に増え、板を一枚一枚切断したり、固定する必要があります。

2. 丈夫なフェンスを施工する際にとても重要な2つのポイント

木製フェンスは柱と板(パネル)で構成される大変シンプルな構造です。しかし、その高さや長さ、配置場所によっては大変大きな外力を受け、転倒の危険があるという事を理解しなければなりません。そのため、次の2つのポイントを踏まえて、風雨に耐える安心できる木製フェンスを設置するようにしましょう。

①柱の固定方法を確認する

柱を固定する方法は、フェンスの設置場所の状態に寄ってよって様々です。

あらかじめ土間コンクリートやコンクリートブロックなどが設置されている場合は、柱の箇所に柱脚金物等を設置して、その金物に柱を固定するという方法が一般的です。金物の種類も多く、強度も様々です。

フェンスの基礎
フェンス用の基礎を地中に埋め込み、柱は地面に接しないようにします

設置場所の地面が掘削出来る状態で、地中に配管等の障害物がない場合は柱の設置箇所に独立基礎を設置します。アトリエタムロでは、18〜20cm角☓高さ45cmのコンクリート基礎ブロックを地中に埋め込み、これに柱脚金物を固定しています。基礎コンクリートの下部は砕石で十分に転圧し、周囲はコンクリートを流し込み固定します。なお、柱脚金物は2☓4工法の建築に使われる柱脚金物を使用します。

よく見かける例として、柱を地面に埋め込んだけの掘っ立て方式や、柱の周りに直接モルタルを流し込んだモルタル固定方式がありますが、これらは短期間の仮設フェンスでしか適用できない方式です。木材の種類によって異なりますが、木材の根本部分から腐りやシロアリの食害が進行し、少しの力で簡単に折れてしまうようになります。木製フェンスの柱は、土と接する事のないように施工します。

②フェンスと直角方向に支えを入れる

フェンスの配置を検討する際に、可能であればL字型やコの字型にするのがベストです。風などの外圧を受けた時に直角方向の支えがあれば、変形や転倒の危険性が大きく削減されます。L字型やコの字型が難しい場合でも、数スパン毎に控え壁や方づえを設置するようにします。

木製ブランコ
控え壁代わりの笠木にブランコを設置した例

フェンスの高さが高い場合や、フェンスの延長が長い場合には必ず直角方向の支えを入れるようにします。

木製フェンスの平面図
木製フェンスに控え壁を設置し、末端部はコの字型で納めた例

3. 面材の張り方は目的に合わせて変えていく

木製フェンスに張る板材は、その目的や場所によって張り方を変えることが出来ます。外からの視線は気にならず、あまり閉鎖的にしたくない場合は板と板の隙間を大きく、逆にプライバシーを重視したい場合には間隔を狭めます。

ただし、夜間などは小さな隙間からでも明るい室内が見えやすい傾向があり、確実に視線を遮りたい場合は、柱の両面に互い違いに板を張るなどの対策が必要です。

板間90mmの木製フェンス
板と板の隙間を板一枚分(90mm)とした例
板間30mmの木製フェンス
板と板の隙間を小さく(30mm)した例
両面張りの木製フェンス
板を裏表の両面に互い違いに張った例(下部は隙間15mmの片面)

また、板を張る方向も横や縦、斜めなどがありますが、方向によって見た目の印象を大きく変えます。これは庭のイメージや好みによって選択すれば良いと思いますが、見た目の安定感があり施工性の良い横張りをおすすめする事が多いです。

4. 木製フェンスは目隠し以外に意外な効果が

目隠し的な用途で使われる事が多い木製フェンスですが、目隠し以外にも意外な効果があります。

例えば、住宅密集地のお宅などで庭のスペースが比較的小さい場合、木製フェンスを設置すると圧迫感が増し、庭を狭くしてしまうと考えがちです。しかし、フェンスを設置することで庭の領域を明確にし、視界をスッキリさせる効果があり、逆に庭を広く見せる効果があります。この場合、フェンスの塗色を明る目のブラウン等にすると更に効果的です。

また、樹木や草花等を植栽するボーダー花壇の背後に、木製フェンスを設置する事で、植物を目立たせ、より美しく見せる効果があります。この場合、フェンスの塗色を暗めのブラウン等にすると、フェンスと植物のコントラストが強調され更に効果的です。

木製フェンスと植栽
木製フェンスの手前に宿根草と落葉樹によるボーダー花壇を設置したイメージ